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修学旅行に行ってきました ~岩手・宮城 世界遺産見学と震災学習プログラム体験~

全日制3学科(情報システム科、マイコン・ロボット科、アニメ・デザイン科)の2年生は、平成26年2月18日から20日まで、2泊3日の旅程で岩手県・宮城県に修学旅行に行ってきました。世界遺産である中尊寺や毛越寺、東日本大震災の被災地である宮城県気仙沼地区・南三陸町地区の見学が主な目的でした。
1日目。午前8時に東京駅に集合し、東北新幹線で一ノ関へ。さらにバスで中尊寺に向かいました。世界遺産に登録されている中尊寺は、奥州藤原四代が栄華を誇った時代に建立されました。宝物庫である「讃衡堂」を見学した後「金色堂」の見学です。覆堂に覆われた「金色堂」は総金箔張りで螺鈿細工が施され見事でした。ガイドの方のお話では、この日は偶然見学者が少なく、こんなにじっくり見学できることはめったにないとのことで、正面だけでなく左右からも見学することができました。写真撮影不可でしたのでしっかりと目に焼き付けてきました。 バスで移動後、こちらも世界遺産の「毛越寺」の見学です。雪に覆われた浄土庭園は、この季節でなければ見られない風情豊かなものでした。この浄土庭園の中核をなす大泉ヶ池の周りを15分ほどかけて散策しました。
 
中尊寺金色堂の覆堂             毛越寺の浄土庭園
さらにバスで移動し、この日の最後の見学地「猊鼻渓」に行きました。船内にこたつが設置され上部がビニールで覆われた「こたつ舟」に乗って渓谷を見学しました。船頭さんによると、猊鼻渓には名勝が15ヶ所あるとのことで、それぞれの岩について説明して頂きながら、20分ほど川を上ったところで船を降り、5分ほど歩いて「大猊鼻岩」を見学しました。運玉という石を対岸の岩穴に投げ入れる運試しをした学生もいました。その後、舟に戻り船頭さんの「げいび追分」を聞きながら川を下りました。 見学の後、バスで気仙沼のホテルに向かい、宿泊となりました。
 
こたつ舟                   大猊鼻岩
2日目。午前9時にバスでホテルを出発し、午前は気仙沼地区の震災学習プログラムを体験しました。港ふれあい公園で下車し、語り部ガイドの方から気仙沼港付近の被災状況の説明を頂きました。その後バスに乗車し、気仙沼地域の被災状況を車中から見学しました。瓦礫はすでに片付けられており、更地にかさ上げ工事が行われていました。震災前には色々な施設があったとのことですが、今では更地になってしまっており、被害の大きさを実感させられました。また、震災時には港に備蓄されていた重油タンクが流されて発火し、大きな火災にも見舞われたとのことでした。津波=水という先入観があったため、火災が1週間続いたというお話は衝撃的でした。 その後、ふかひれの加工を行っている石渡商店様の工場見学を行いました。社長様自ら鮫やふかひれ加工について説明頂いた後、震災時のお話を頂きました。震災発生時、社長様は上海で商談中でしたが、ご家族からの連絡を受けて成田空港から車で22時間かけて気仙沼に戻られたこと。震災で工場が流されてしまったこと。従業員の方々の居場所がわからず歩いて何箇所もの避難所を回ったこと。震災から1週間で工場の再開を決め、7月7日にはプレハブで作業を再開したこと。借金や助成金などを投入して6億円かけて新しい工場を建設したことなどをお話頂きました。社長様は3代目とのことですが、震災後社長となり、すぐに再開するという決断をされたとのお話や、震災前は同業者同士の仲が悪かったが、震災後は協力して復興しようという動きになっていることなど、震災がもたらしたポジティブな変化もあったとのことも印象に残りました。
   
語り部ガイドの方による被災状況の説明     石渡商店社長様による被災体験のお話
昼食後はバスで2時間半程度かけて松島に行き、遊覧船で観光しました。松島には多くの島々がありますが、その中にも東日本大震災時に一部が崩落したという島がいくつかありました。ただし、松島は島自体が防波堤の役割を果たしたため、他の地域に比べて被害が少なかったという説明がありました。 見学の後、バスで南三陸町のホテルに向かい、宿泊となりました。
 
 遊覧船で松島を一周             松島を背景に記念撮影
3日目。午前8時45分にバスでホテルを出発し、午前は南三陸町の震災学習プログラムを体験しました。南三陸ポータルセンターまで移動した後、語り部ガイドの方による「私の体験した東日本大震災~3.11 あの瞬間(とき)を忘れない~」と題した約50分間のプレゼンテーションがありました。同じ場所の震災前と震災後の比較写真は、特に衝撃的でした。震災前にはごく普通の町並みでしたが、震災後には家屋が瓦礫と化していました。ガイドの方のお母様もいまだに行方不明とのことで、日中はだいぶ明るい表情もできるようになったが、就寝前には涙が出るというお話が印象に残りました。 その後、ガイドの方と一緒にバスで被災地域の見学に行きました。気仙沼と同じく、瓦礫はほとんど撤去され、更地にかさ上げ工事が行われていました。少し高台にある戸倉中学校でバスを降り、ガイドの方の説明を受けました。この中学校の校庭は海抜15メートルでしたが、周囲の地形によって校庭まで津波が押し寄せ渦を巻いた状態になり、逃げ遅れた生徒と助けようとした先生が亡くなったとのことでした。多くの先生や生徒は校庭からさらに高い裏山へと避難し助かったというお話を伺いました。その後、再びバスに乗り、災害対策本部兼遺体安置所となった体育館や高台移転の予定地などを車中から見学しました。南三陸ポータルセンターに戻るとすぐ隣に「南三陸さんさん商店街」というプレハブの商店街があり、食料品、文房具、家電品、日用品などを売っている商店が集まっていました。ここで20分ほど買い物をした後、バスで移動となりました。
 
語り部ガイドの方による被災状況の説明     復興商店街
宿泊したホテルで昼食を取り、バスで約2時間かけて仙台駅に移動し、東北新幹線で東京に戻り、解散となりました。
この修学旅行では、被災地を実際に見て被災した方々のお話を伺うことができ、貴重な体験ができました。この体験を忘れないことが、震災に遭われた方々への思いやりの第一歩だということを心に刻んだ旅行でした。

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